訪問看護ステーションさくら

多摩在宅ネットワーク 困ったケース

在宅ターミナルケアの難しさを感じた事例

k氏 43歳 女性
病名:すい臓癌、転移性肝炎、多発性リンパ節転移

既往歴   

28歳頃子宮頸癌0期で腫瘍のみ切除
左耳に良性腫瘍切除
右耳難治性中耳炎繰り返す

生活環境 

夫と二人暮らし(子供はいない)
3人姉妹の長女(妹は昭島市、所沢市に在住)
両親は健在で昭島市に在住

介護の状況   

夫は妻が発病以来仕事を休んでおり、ほとんどつきっきりで看病している。
母は糖尿病を患ってはいるが、妹の車に乗せてもらい一緒に夕方訪れることが多い。
夫が出かけられなければならない時は、母と妹が来て本人の看病にあたっていた。

現病歴   

H19年8月頃より肩・背部痛が出現、同月突然高熱が5日間ほど出たがはっきりした
原因が分からなかった。10月頃食後に心窩部痛を感じるようになり食欲が低下、体重も7kg低下。
11月に入り心窩部痛悪化。検査後腫瘍マーカーの異常値を認め、膵臓体尾部癌、肝転移と診断
される。12月12日セカンドオピニオンとして都内の大学病院受診、化学療法目的で入院となる。
入院後は疼痛に対しオキシコンチンを開始。12月28日化学療法を開始したが全身状態が一気に
悪化した為中止。H20年1月11日今後の化学療法も困難となり、本人の強い希望もあり退院。

当ステーションが係わるまでの経緯

1月8日T病院の相談員より電話相談。本人は一刻も早く帰りたいと言っている。本人は癌という事
は知っているが、ターミナルだということは知らない。ご主人には厳しい状態であることはムンテラ
済みだが、体力が戻ったらまた治療を希望されていると。在宅医療を希望されているが、ターミナル
という自覚が家族にも乏しい為、その辺を踏まえた上で往診してくれる先生を紹介してほしい。井尾
先生という方がいて、お世話になっていますということをお話しするが、在宅看取るかどうか迷って
いるので相談してみるとのこと。9日再び相談員の電話がある。(本人の強い希望で11日に退院が
決まったが、まだ気持ちがはっきりしていない。紹介状は書くので家族と相談して欲しい)と。主治医
が決まってからの方がいいのでは、と話すが、とにかく本人が11日退院すると言っているので間に
合いそうにないと。とりあえず井尾先生には受けていただけそうか確認を取り、退院の前日の夜、
ご家族とご自宅でお会いした。ご主人は24時間連絡のとれる先生がいいと希望。しかし、治療は締め
ていないので看取りなどについては、今は考えられないとのことであった。まずは早めに予約を取り、
先生と直接お話しすることを勧めた。
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